1.仮想通貨市場の時価総額は大きく入れ替わっている
世界では日々新しい仮想通貨が生まれ、人々に新たな可能性を示しながら開発が続けられています。そして、数千種類にも及ぶ仮想通貨の中でも時価総額の多いものは非常に限られており、2018年の時価総額のランキングにおいては、2017年とは異なる様相を見せていると言えるでしょう。
2018年の仮想通貨ランキングに着目すると、2017年ではトップ10内に入っていたイーサリアムクラシック・ネム・リスクは順位を下げています。そして、代わりにステラ・イオス・トロンが入る状況となっており、人々のニーズが大きく変化したことが伺えます。
まずは、2018年になってから、順位が入れ替わった仮想通貨に着目していきましょう。
イーサリアムクラシックはthe DAO事件においてイーサリアムの現状に疑問を抱いた有志によってイーサリアムから分裂して誕生した通貨です。しかし、性能はイーサリアムに依存しているうえで、イーサリアムと比較すると開発や提携は進んでいないと言えます。
NEMは、「新しい経済活動」を目的として作られたプラットフォームであり、情報処理能力に優れ、プラットフォーム上で別の仮想通貨を作れるほどの拡張性も有しています。しかし、2018年1月26日のcoincheckの事件でターゲットとされたことから価値の下落が始まり、結果としてNEMの発行主体である企業は人々の不安を払拭することが出来ていません。
Liskは、イーサリアムと同じ分散型アプリケーションのプラットフォームであり、開発言語は世界的にメジャーなプログラム言語です。その為、通貨の開発そのものも容易であり、通貨の大幅な使用変更であるリブランディングも残されている為、高騰する可能性は低くはないでしょう。
次に、2018年に入ってから上位に浮上した通貨を見ていきます。
EOSは、仮想通貨の中でも非常に情報処理に優れたプラットフォームを有する仮想通貨であり、時価総額ランキングでは5位に浮上しています。また、EOSトークンは決済機能などの特別な機能はありません。しかし、プラットフォームとして優れた存在であるイオスは投資家やユーザーからの期待値で購入されており、EOSに関連する新しい通貨も開発されています。その為、EOSに対する市場の期待値は非常に高いと言えるでしょう。
Stellarは、簡潔に言えば、個人に向けた総合的な送金プラットフォームです。ステラの目的は個人間の金銭のやり取りを容易に行う為のものであり、世界中で銀行口座を持てない人々にとっても有効な存在となり得る仮想通貨と言えます。また、総量が増加していくことにより、仮想通貨における価格の変動性も抑えることが可能です。
Tronはエンタメ系のコンテンツに特化した仮想通貨であり、スマートコントラクト機能を有しています。また、トロンは既に大手アプリとの提携も行っており、アプリ開発もTron内で行えることからユーザーと投資家からの期待値は非常に高いといえるでしょう。
こうして比較してみると、2018年の時価総額トップ10の仮想通貨は、通貨として将来性や具体性を持っており、社会的なインフラを担う役目を持っていることが明確となっています。つまり、今後は既存のサービスとの提携や現状の世界の問題などを解決できる可能性を有する通貨に対して、ユーザーと投資家の注目が集まっていくと推測されます。
2.仮想通貨の需要
仮想通貨のニーズは、常に変動します。例えば、ビットコインが現在でも時価総額において1位となっているのは、世界的な広がりを見せたうえで最も世界中に早く広まった通貨であり、殆どの仮想通貨取引所でビットコインを基軸として稼働している為です。
しかし、将来性に目を向けた場合、ビットコインはイーサリアムやEOS、CARDANO、リップルなどと比較にならないほど機能性には乏しいのが現実です。仮想通貨に関連する技術であるブロックチェーン技術は、世界中の企業で研究されており、今後既存のシステムを大きく変える可能性を秘めています。加えて言えば、仮想通貨の価値は、ブロックチェーン技術が一般的なものになるにつれて、価値の変動性が乏しくなっていくことから現在の段階でも将来性の見えない通貨に投資を行うことがリスクとなると言えるでしょう。
また、仮想通貨の時価総額においても、将来的に人々のインフラや既存のシステムに変革をもたらす可能性を秘めている通貨に期待が寄せられている状況です。時価総額のトップ10内にはEOSのみ決済機能さえも有しないトークンではあるものの、通貨の開発や具体的な企業との提携が進んでいる通貨が揃って居ると言えます。
今後、仮想通貨は、将来性の高い通貨のみが数年先まで残り続けるという流れになります。しかし、ブロックチェーン技術の開発・提供・使用は既に多くの企業で始まっており、必ずしも仮想通貨という形でブロックチェーン技術を提供しなくてもいいシステムが構築されつつあります。その為、仮想通貨は社会的なインフラと深くリンクする存在となり得る可能性を秘めており、ユーザーや投資家はより優れた通貨を選択し続けていくと見ていいでしょう。