仮想通貨に関するデータを提供するコインマーケットキャップ・ドット・コムによると、ビットコインの価格はおよそ1か月で約41%下落。その結果、世界中で取引されている仮想通貨全体の時価総額は、約50%減少している。
仮想通貨を取り巻くここ5年ほどの状況とは、大きく異なる様相だ。2012年12月にわずか15ドル(約1600円)前後で取引されていたビットコインは、昨年12月には2万ドル近くにまで高騰。ビットコイン以外の多くの仮想通貨も今年に入り、数日のうちに価格が2倍になるほどの伸びを見せていた。
底が見えるまで手を引くべき」今後のビットコインの値動きは?
すでに投機の対象でしかない
昨年12月24日に配信した当メルマガで、ビットコインは、半年から1年程度の期間で60万円前後の値位置まで下げると書きました。このときは早くても3月頃と推測していましたが、昨年12月18日以降の急落が止まらず、2月5日には70万円を割れる値位置まで下げてしまいました。
予定の地点まで値が下げたため、このメルマガを読んでいる方が、買い場だと判断することも考えらえるので、今後の読み方を書いておきます。
ビットコインは、現時点で、通貨としての価値を失い、すでに投機の対象でしかありません。今後、通貨としての価値を回復していく可能性がありますが、それは、価格が安定した後、多くの人が再びビットコインが便利だと判断する状況になってからです。
投機は、姑息で汚い手段で、通常の経済活動を利用して、お金をかすめ取っていきます。経済活動であらわれる資金移動の事情によって作られる、毎年繰り返される価格変動に乗り、その動きを増幅させることで大きな利益を得る作業をしています。投機は、実需のそうしなければいけない事情を利用して、利益を得ています。
ビットコインは、まさにこれから上昇するのだと煽られたという、昨年までの特殊事情によって、特別な需要が生み出されました。投機は、その実需による買いを増幅させて利益を得るため、ビットコインに入ってきました。
この実需は、通常の経済活動であらわれるものではなく、新しく魅力ある商品が生み出されたことによる一時的なものに過ぎません。株ならば、毎年年度末から年度初めに向けて積極的な資金移動があって、多くの銘柄が上昇しやすくなります。ビットコインには、そういうものがないのです。
現状では、投機が再び積極的になる基準が値段しかありません。いくらになれば、積極的な買いが多く入り、ビットコインを買いたいと考えている人が出てくるのかが確認して、初めて、投機的な人気が再燃することになります。
そうなると、この値位置なら買いたいという場所をレンジ下限として、投機が利益を得られる程度のレンジを毎年つくる動きになります。今後、そのようなレンジ内の展開があらわれるなら、ビットコインの市場は、長く続く可能性が出てきます。
60万円前後は、今後つくるレンジ下限になるかもしれない値位置に過ぎません。今後、さらに下値を掘り下げて、30万円、10万円以下になることも考えられます。
今後のビットコインの値動きは?
60万円前後が誰もが買いたいと考えている水準なら、2月の安値付近が押し目底になって、今年、150万円程度まで上げる動きがあらわれるはずです。
そのような展開にならず、下値を掘り下げるなら、一度、30万円以下まで下げる、あるいは、徐々にボラティリティが減少していき、低水準であまり値動きのない状態になっていくことも考えられます。
今後、下値を掘り下げる動きへ入る場合、2月に押し目をつけた後の反発は、100万円前後で上値を抑えられて、再度、下降の流れへ入る公算です。
上下の値動きにかかわらず、下げられない値位置が見えてくるまで、手を引く方が無難です。市場として成立するなら、一定のレンジでの動きになるのですから、今買っておかなければ損というわけではありません。
下図は、今後のビットコインの想定される値動きです。
銀行が積極的に進める「仮想通貨」
2018年は、三菱東京UFJ銀行が「MUFGコイン」、みずほ・ゆうちょ・地銀のグループが「Jコイン」を発行すると言われています。
仮想通貨発行による銀行のメリットは、経費削減とビックデータの蓄積です。
昨年11月にメガバンクは、今後数年かけて、みずほが1万9,000人、三菱UFJが9,500人、三井住友が4,000人という大規模な人員削減を発表しました。銀行は、高い経費率が利益を圧迫してきたため、本格的な体質改善に動き出しました。その取り組みの1つが、仮想通貨の発行だと考えられます。銀行を中心とする閉鎖空間の中での仮想通貨の発行は、信頼性が保たれて、データ管理費が大幅に削減できることになります。窓口業務も減り、人員を削減できることになります。
もう1つのメリットは、ビックデータの蓄積です。MUFGコイン、Jコインの管理会社は、利用者の詳細なお金の動きをビックデータとして蓄積することになります。これまで銀行は、人のお金の出し入れまでは管理できていましたが、何をいつ買ったのかということまでは詳細に把握できていませんでした。これが仮想通貨であれば、詳細なお金の流れまでがわかるようになります。このようなデータが、今後、銀行の新たな事業へと発展していくと言われています。